研究室の目的

(主に在学生を対象にした研究室紹介です)


発生とは不思議なものだ


 単純な受精卵から、複雑な形をした成体への変化、どんな種類の生物の発生でも見ていていつも感心します。いったん、どうしてだろうと疑問をもつと、発生には色々な問題が含まれていることがわかります。細胞分裂、極性、細胞分化、誘導などどれをとっても大きな問題ですが、ここでは、発生を形の変化という観点から眺めてみたいと考えています。単に細胞数の増加だけではない、形の複雑さがどのようにしてできてくるのか、またそれが外的な要因で乱されたときどのような影響が生じるのかを、主としてマウス胚を用いて研究します。

哺乳類卵の発生はちょっと違うらしい


 もう一点、当研究室を紹介するためのポイントがあります。私達、ヒトを含む哺乳類は体内発生します。鳥類以下、体外発生する動物に比べて、良い生殖方法を得たといえるでしょう。自分の子供を体内で育てるという、とんでもないことを可能にするには、免疫、栄養補給、初期発生過程など、いくつかの問題を克服してきたようです。いづれも、哺乳類の体内発生を理解するためにきちんと勉強しなくてはなりません。体積が両生類と比べて5000〜8000分の1、また、ニワトリとは比較にならないほど小さい卵。これは卵黄などの栄養物質、母系物質をほとんど捨てることができたせいなのです。他方で、この代償として、母親から発生に必要な栄養を受け取るために、直接胚本体の形成にあずからない栄養供給組織を発達させました。このような状況のもとで、哺乳類の胚や胚体外の組織は発生とともに大きく形を変えていきます。マウス胚発生の正常と異常を研究しつつ、哺乳類の体内発生のしくみを詳しく勉強してみたいと思います。


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