物理のトリビア

上下の板の間をボールはWの形で跳ねて行く?

上下に板をおいて板の間をバウンドするようにななめからボールを投げ入れます。
さてボールはWの文字のようにななめ上下にバウンドして進んでいくでしょうか?
上下の板を木の板、アクリル板の2種類を、ボールをピンポン玉、スーパーボールの2種類を使って高速度カメラでボールの様子を撮影しました。4通りの組み合わせでどんなふうにボールはバウンドするでしょう?

(1)上下に木の板をおき、その間をピンポン玉が跳ねて行く様子

ピンポン玉は下の板で跳ね返ったあと、反時計回りに回転しながら進みます。上の板で跳ねて回転が止まりそのままほぼ真下に落ちています。

(2)上下に木の板をおき、その間をスーパーボールが跳ねて行く様子

スーパーボールは下の板で跳ね返ったあと、反時計回りに回転しながら進みます。上の板で跳ねたあと今度は時計回りに回転しながらもどっています。

どうしてこうなるのでしょう?

  

回転せず進んできたボールは下の板に当たり、板との摩擦や衝撃でボールの下部に右向きの力が働きます。ボールが滑らないときは反時計回りの回転を生じ、そのまま前に動きます。
次にボールが反時計回りの回転をしながら上の板にあたると、板との摩擦や衝撃でボールの上部に右向きの力が働き、時計回りの回転をしようとします。初めの回転と逆向きの回転になります。
はじめの回転が速いとそれだけ右向きの衝撃力が強くボール全体は右向きの速度を持ち、ボールは戻ることになります。
ピンポン玉は上の板との衝突で生じた摩擦や衝撃の力が比較的小さいのではじめの反時計回りの回転を止める程度で、回らず、戻る力も小さく真下に落ちたのです。
それに対しスーパーボールは摩擦や衝撃が大きいため上の板で生じた右向きの力で時計回りの回転をしながら戻ったのです。

今度は摩擦の少ないアクリル板の間をピンポン玉、スーパーボールが跳ねて行く様子です。

(3)上下にアクリル板をおき、その間をピンポン玉が跳ねて行く様子

ピンポン玉は下の板で跳ね返ったあと、反時計回りに回転しながら進みます。上の板で跳ねたあと回転はほとんど止まりますが、よくみるとゆっくりですが反時計回りのはじめの回転をしています。また少し斜め前に進んでいます。(1)と見比べてください。上の板にあたったときの右向きの摩擦や衝撃力が小さいので衝突前のはじめの運動(反時計回りの回転をし左向きに進む)を持続するのです。

(4)上下にアクリル板をおき、その間をスーパーボールが跳ねて行く様子

スーパーボールは下の板で跳ね返ったあと、反時計回りに回転しながら進みます。上の板で跳ねたあと逆の時計回りに回転しながら戻っています。(2)と見比べてあまりはっきりした違いはでませんでした。

最後にスーパーボールが回転しながら跳ねる様子です。

(1)スーパーボールは右の壁にあたることで時計回りの回転をしながら左上に跳ねます。
(2)時計回りの回転をしながら斜め右上から左方向に床にあたるとボールの下部には右向きの摩擦力が働き、反時計回りに回転を変えて跳ね、右向きに戻ります。
(3)反時計回りの回転をしながら斜め左上から右方向に床にあたるとボールの下部には左向きの摩擦力が働き、時計回りに回転を変えて跳ね、左向きに戻ります。
(4)これを繰り返しながら往復します。

回転の向きを変えながら跳ね返る様子が分かりましたか?

 

物理のトリビアの目次ページへ戻る

よくわかる解説の目次ページへ行く

ふしぎビデオの目次ページへ行く

WEB教科書の目次ページへ戻る