物理のトリビア
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現在時間を測る一番正確な時計は原子構造をもとにしているって知ってた?
解説1:現在では時間をはかるものとして原子時計が用いられています。1秒という時間の単位はセシウム133(133Cs)原子の超微細構造を用いて決められています。原子はとびとびのエネルギー状態を持っています。セシウム133という原子がもつエネルギー状態の中に非常によい精度で一定を保っている2つのエネルギー状態があります。つまり2つのエネルギー間隔の値は非常によい精度で一定を保っています。一般に低いほうのエネルギー状態にある原子はエネルギー間隔に等しいエネルギーをもらうと高い状態に移ります。逆に高いほうのエネルギー状態にある原子はエネルギー間隔に等しいエネルギーを放出して低い状態にうつります。電磁波の周波数をνとするとそのエネルギーはプランク定数h×周波数νと表されるので周波数が9,192,631,770Hzのマイクロ波がこのセシウム133原子のエネルギー間隔に等しいエネルギーに対応します。いま熱せられガス状になったセシウム133原子をレーザー光をあてて低いエネルギー状態のみにします。そのガスにほぼ上記の周波数に設定されたマイクロ波を照射するとセシウム133原子の多くは高い状態に移ります。高い状態に移ったセシウム133原子は再度レーザー光を照射すると低い状態に戻るがその際蛍光を発生します。その蛍光の強度を計測すればマイクロ波によってうつった原子の数がわかります。うつった原子の数が減ればマイクロ波の周波数を変えて移動する数を増やすように制御させておくと常にマイクロ波を極めて精度よく上記の最適な周波数にしておくことができます。その周波数を基準に1秒をきめているのです。原子時計はGPS(全地球測位システム)にも利用され24個の衛星には原子時計が搭載されてい ます。またセシウムより精度は劣りますが安価で小型化できるルビジウム原子時計や、セシウムが10-12の精度を持つのに対し、10-15の正確さをもつ水素メーザによる原子時計も開発されています。
JSTバーチャル科学館(ちくたく研究所)(もう閉鎖されています)
解説2:原子時とうるう秒
原子時計の登場で時間が正確に刻まれるようになると地球の1日がいつも正確に24時間ということではないことがわかります。つまり太陽の南中時(真南に来る時刻)の間隔で決まる1日と原子時計の刻む24時間との間にずれが生じてきます。このずれをそのまま放置すると極端な場合、日の出が午前6時や7時でなくなったり、お昼が12時ではなくなります。これは日常生活にとっては非常に困ることです。そのため時間の刻みは原子時計によって決められた1秒をもとにし(原子時と呼ぶ)、1日は太陽の南中時(真南に来る時刻)の間隔をもとにしてきめています。そうしてこの両者に0.9秒以上の違いが生じないよう1秒分の補正(うるう秒という)を入れて調整することとしたのです。これが協定世界時です。うるう秒がきめられた1972年以降2003年7月までに22回うるう秒が実施されました。
※地球の1日と地球の自転:地球の1日は太陽の動きで決められています。つまり太陽が真南にくる南中時から次の南中時までを1日としています。そうすると地球の自転は地球が太陽の周りを公転しながら自転するため1日よりすこし短くなります。地球がつねに太陽を向きながら公転するとそれだけで地球は1回転します。1年365日で地球は365回ではなくそれより1回多い366回自転しているのです。