物理のトリビア

      

 蛍光灯の光はちらちらして見えるって知ってた?

 

解説1:蛍光灯の両側には電極があり電流が流れると熱せられてマイナス極から電子が出ます。
両側の電極に大きな電圧がかかると−極から出た電子が+極に引き寄せられて進み、その途中で管内の気体(水銀)にぶつかって
紫外線が出ます。さらにそれが管の内壁で蛍光塗料にぶつかって発光するため蛍光灯は明るく点灯します。

 

  注:点灯時のしくみはいろいろあるのでここではふれません。両電極の間で放電が始まり電流が流れはじめてからを考えます。

一般家庭に来ている100Vの電圧は強くなったり弱くなったりしながら+と−を反転させる交流電圧です。

 電池のような+極と−極が決まった直流電圧だとずっと光り続けますが、交流は電極どうしにかかる電圧が図のように時間的に変化します。

                           

  @ 蛍光灯の両端には最大電圧がかかります。もっとも明るいときです。

 A 電圧が下がってきます。暗くなります。

 B 電圧が0になり光らなくなります。

 C 逆向きに電圧がかかり電子の流れは逆になりますが暗く光ります。

 D 逆向きに最大電圧がかかりまた明るくなります。

 E 電圧が下がり暗くなります。

 F もとの状態に戻り明るくなります。

 

 

 

 関西では交流電圧は1秒間に60回、1/60秒で1回繰り返します。1回の繰り返しに明→暗→明→暗→明と2回明暗を繰り返します。
つまり蛍光灯は1秒間に120回明暗を繰り返すのです。

 

肉眼で見てもちらついてみえたりしないけど本当に明るくなったり暗くなったりしているの?

解説2:蛍光灯を高速デジカメ(動画モード)で見る

 ほんとうに蛍光灯は交流電圧の変化にしたがって明るくなったり暗くなったりしているのでしょうか?
肉眼で蛍光灯を見てもほとんどわかりません。ビデオカメラはどうでしょう?
通常のビデオカメラは1秒間に30コマの静止画を撮影します。これでは1秒間に120回の明暗を見ることはできません。
そこで高速動作撮影ができるデジタルカメラで撮影してみました。(カシオEX−F1)

1)1秒間に300コマの高速撮影すると2.5コマで1回明暗を繰り返します。つまり5コマごとに2回明るくなります。

2)1秒間に600コマの高速撮影すると5コマで1回明暗を繰り返します。つまり5コマごとに1回明るくなります。

3)1秒間に1200コマの高速撮影すると10コマで1回明暗を繰り返します。つまり10コマごとに1回明るくなります。

下の図はゆっくりコマ送りさせているので数えてみてください。これを関東で撮影するとすこしずつ違ってくるはずです。

関西の蛍光灯

1)普通の蛍光灯を1秒間に300コマモードで撮影(シャッタースピード1/400秒)したものをコマ送りしている

2)普通の蛍光灯を1秒間に600コマモードで撮影(シャッタースピード1/1250秒)したものをコマ送りしている

3)普通の蛍光灯を1秒間に1200コマモードで撮影(シャッタースピード1/2500秒)したものをコマ送りしている

ちなみに関東の交流電圧は50ヘルツなので蛍光灯は1秒間に100回明暗を繰り返します。

1)関東の蛍光灯を1秒間に300コマモードで撮影 3コマごとに1回明るくなる

2)関東の蛍光灯を1秒間に600コマモードで撮影 6コマごとに1回明るくなる

3)関東の蛍光灯を1秒間に1200コマモードで撮影 12コマごとに1回明るくなる

解説3:インバータ回路の入った蛍光灯はちらつかない

交流回路は+極と−極が反転するので効率がよくありません。そこで交流の繰り返しを1000倍くらい速くして効率をよくする回路をインバータ回路と言います。これだと図のように蛍光灯はほとんどちらつきません。インバータエアコンと言われるエアコンも交流の繰り返しをずっと速くして効率をよくしているのです。

4)インバーター回路つき蛍光灯を1秒間に1200コマモードで撮影(シャッタースピード1/2500秒)したものをコマ送りしている

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