物理のトリビア
音声ガイド 再生ボタンで音声読み上げが始まります。
セミがヘリウムガスを吸って鳴くと声変わりするって知ってた?
解説1:セミはお腹で共鳴して鳴いています。
多くの昆虫は羽をこすって鳴きます。でもセミは羽でお腹をこすって鳴らす摩擦音の他に図のようにお腹の中に共鳴室という空気がはいったところがあって、そこで鼓膜という筋肉が振動することで共鳴室の空気が共鳴して音が鳴ります。だからあんなに大きな声が出るんですね。
参考文献:動物分類系統学7(中山書店)
人間の声が、声帯が振動し喉(声道)の中の空気が共鳴して出てくるのと同じなのです。
それでは人間がヘリウムガスを吸ったときに声変わりするのと同じようにセミも声変わりするでしょうか?
解説2:セミの共鳴室は音叉の共鳴箱と同じです。
音叉には普通共鳴箱がついていて、音叉だけでは大きな音にならないのに共鳴箱につけると大きな音になります。ただしこれは音叉の振動数にあった長さの共鳴箱の場合で共鳴箱の長さと音叉の振動数 にはある関係があります。
共鳴する音の波長(ほぼ共鳴箱の長さ×4)×振動数=音の速さ
ここで音叉は決まった振動数で振動します。(だいたい440Hz)空気中の音の速さも決まっていますから決まった長さの共鳴箱だけが共鳴します。
ところがここに空気ではなくヘリウムガスを入れると音の速さは約3倍速くなります。そうすると共鳴箱はこの条件を満たさなくなるので共鳴しなくなります。
ふしぎビデオを見てください。 へリウムを入れて共鳴しなくなる様子がよくわかります。
セミも同様です。空気の代わりにヘリウムガス(空気の窒素の部分のみがヘリウムに替わった酸素との混合ガス)を入れた容器にセミを入れると気門を通って(気門呼吸)共鳴室の空気がヘリウムにかわるため音叉と同じように共鳴しなくなります。(摩擦音などはそのままですから音の周波数成分が変わることになります。)だから声変わりするのです。
ふしぎビデオにセミの声変わりする様子がありますから見てください。