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「物体に働く力」ではなく「○○が物体に及ぼす力」と力を及ぼすものをはっきり明示して言おう
下の図を見てください。ボールを上向きに投げ上げたとき、各点でボールにはどんな力が働いているでしょう。
<生徒がよく間違える解答>
例1:ボールが上昇するときは上向きの力、下降するときは下向きの力が働き、最高点では止まっているので力は働いていない。
例2:ボールが上昇するときは、下向きの重力とより大きな上向きの力が働き、合力として上向きの力が働いている。
ボールが最高点にあるときは、重力と上向きの力が釣り合って、合力は0。
ボールが落下しているときは、重力とより小さな上向きの力が働き、合力として下向きの力が働いている。
この問題と上記のような生徒の誤解答は物理教育で古くから非常によく知られたものです。
物体が運動するとき必ずその方向に力が働いているという誤概念です。(MIF誤概念と呼ばれています。)
「上向きに動くときは必ず上向きの力が働いている」と思い、「力が働かないときでも物体は動き続ける」と学校で習っても
しばらく経つとまたこの考えに戻ってしまいます。
「物体に働く力」というとき、必ずその力は物体以外の誰かが及ぼしています。
常に「○○が物体に及ぼす力」と力を及ぼす「誰か」を明示して言いましょう。
では上向きに力が働いているとしたら何がボールに力を及ぼしているのでしょう?
ボールを投げる瞬間、ボールには「人間の腕が」「手首が」及ぼす力が働きます。
ではその後、手からボールが離れてボールが上昇するとき、「何が」ボールに力を及ぼしているのでしょう?
ボールに力が与えられた?、ボールは力を持っている?
こう考える人はいつも「○○が△△に及ぼす力」と力を及ぼすものと及ぼされるものを明示して言ってみましょう。
ボールに上向きの力を及ぼしているものはありませんよね。
力は「持つもの、持っているもの」ではなく「誰かが及ぼすもの」なんです。
MIF誤概念に必要なのはしっかりした力の学習です。
補足
人間の腕や手首がボールに力を及ぼして投げ上げた後、ボールがうけとったのは「運動量」です。
補足2
遠心力は誰が及ぼしているのでしょう?及ぼしているものはないんです。だから見かけの力なんです。
どうですか?わかりやすくなりましたか?