速度が変わる(力が働く)運動を理解するときはベクトルを使おう

 

下の図を見てください。これはエアホッケーでプレーヤーが球(パック)を打ち返しているところの連続(ストロボ)写真です。(1/25秒)


(原図:啓林館中学校理科教科書第1分野下平成16年度版より)

<ステップ1> 図から運動の様子を考えよう

@パックは右上からやってきています。なぜだかわかりますか?
連続したパックの間隔が違っていますね。

同じ時間内に位置が大きく離れる方が速いので、間隔が広いと速く進んでいるとわかります。

この場合は、右上の方が間隔が広く、つまり速く、左下に行くにつれて、だんだん間隔が狭くなっているので、右上から左方向に、速さが(摩擦のせいで)徐々に遅くなって、進んでいることがわかります。

Aパックを打ち返した後は、速さが増します。打ち返す前より間隔が広くなっていることがわかりますね。速さが増して右下の方へ進んでいます。

   <ポイント>連続写真の間隔が広いと物体は速く進んでいる 

<ステップ2> 図から速度の向きを考えよう

今度は、パックがどの方向からやってきて、どの方向に打ち返されるかを、矢印(ベクトル)で示してみます。

@打ち返される直前の速度ベクトルは、プレーヤーのパックに当たる直前のパックの位置A(始点)と、当たった瞬間のパックの位置B(終点)を、矢印で結んだものです。
※矢印の始点と終点はつねにパックの中心(重心)と中心(重心)を結びます。

 パックの連続写真の時間間隔が短ければ、矢印はその瞬間の速度の方向を表し、長いとその時間内の平均を表します。

A打ち返された直後の速度ベクトルはプレーヤーのパックに当たった瞬間のパックの位置B(始点)と当たった直後のパックの位置C(終点)を矢印で結んだものです。

2つの速度ベクトルが描けましたか?

パックは当たる直前の速度ベクトルの向きに進んでいたのが打ち返されて直後の速度ベクトルの方向に進んで行ったのです。

   <ポイント>連続写真の隣り合う2つの写真を結ぶとその瞬間の速度ベクトルになる 


(原図:啓林館中学校理科教科書第1分野下平成16年度版より)

<ステップ3> 直前と直後の速度ベクトルから速度の変化を考えよう

プレーヤーに打ち返されることでパックの速度が変わりました。どうかわったでしょう?

  <ポイント>変化した量=変化した後の量−変化前の量

なので、直後の速度から直前の速度を引き算すれば、速度の変化した量になります。速度の変化した量を加速度といいます。

  速度の変化をあらわす加速度ベクトル=直後の速度ベクトル−直前の速度ベクトル

速度の変化を加速度と言います。加速度ベクトルを図に書き入れましょう。ベクトルの引き算は符号を逆にして足せばいいので力の合成と同じようにつぎのように考えます。

  直前の速度ベクトルを引くのは直前の速度ベクトルの矢印を逆にして足す。

平行四辺形で合成すれば速度の変化を表す加速度ベクトルになります。


(原図:啓林館中学校理科教科書第1分野下平成16年度版より)

<ステップ4> 速度が変化した原因は力 

パットの速度が変化したのはプレーヤーが打ち返したからで、プレーヤーがパットに力を及ぼしたからなんです。
だから打ち返す前後で変化した量を表す加速度ベクトルは力の方向を表しています。

        速度が変化する運動をベクトルで考えると、その時及ぼされた力が見えてくる 

        物体がいつも持っていて、変わるものは速度で、変えるものがその時及ぼされた力 

 

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