探究プロセス開発と実践

本研究室では、前仮説段階を考慮した探究プロセスの開発を行っています。

ここでいう探究プロセスとは、自由研究等の探究(あるいは研究)を授業として意味づけ、位置づけしてデザインしたものです。
これらは、別に挙げたMIと併用して探究学習を効果的に体験できる様々な要素の凝縮された授業です。

探究学習における前仮説段階

自由研究等の探究(あるいは研究)を授業として意味づけ、位置づけしてデザインしたものを、本研究室では探究学習と呼称しています。

本研究室の探究学習は、そのほとんどが自由試行(messing aboutと同義)として成立しており、一斉授業のように全体を指導することは探究学習の始まりと終わりのみで後はチームへの支援が中心です。

そして、探究的な学習における、検証すべき仮説が出現する前段階を「前仮説段階」と呼び、重視しています(左図)。

開発した探究プロセスと実践状況(2015年度)

以下の表に、近年開発された有効な探究プロセスを挙げています。

タイプ分類は、ハワードガードナーの知性の定義「ひとつ以上の文化的な場面で価値があるとされる問題を解決したり成果を創造する能力」(Gardner、2001)から、「問題解決の要素」と「成果創造の要素」について分類したものです。

タイトル(開発年)

内容・時間・対象

探究のタイプ
支援者の介入量

2015年度講座学校数
(MはMI活用)

紙と水糊の不思議を探る(2003)

紙に水糊を塗ったときにできる波形のしわの成因を探る。
定番中の定番。1時間。中学以上。

課題解決、自由試行、
介入中

教員研修1(M)、大学4(M)

水の逆流の謎を探る(2007)

フラスコ内の水を沸騰、外から水を逆流させ、
内部に生じる空間の成因を探る。1.5時間。高以上。

課題解決、自由試行、
介入小

教員研修1、大学1(M)、
高校1(M)※2014年実施数

ウメボシから塩を取り出す(2008)

ウメボシから白色の塩の結晶を分離する。定番。
1.5時間。中以上。

成果創造、課題解決、
自由試行、介入小

教員研修2(M)、大学4、(M)、
高校3(M)

紙コップの不思議を探る(2010)

紙コップにお湯を入れ、置くと、
底面にくもりが生じる原因を探る。1.5時間。小5以上。

課題解決、自由試行、
介入小

教員研修5(M) 、大学4(M) 、
高校4(M)

キャベツを探る(2011)

1玉のキャベツについて調べることを決め、
それについて実験をする。1.5時間。中以上。

課題設定、課題解決、
自由試行、介入小

大学1(M)、教員研修1(M)

水上ローソク船の不思議(2012)

水に浮かべたローソク船の炎が消えて起こる現象を解明する。
1.5時間。中以上

課題解決、自由試行、
介入微小

大学3(M)高校1
※2014年実施数

火おこしを科学する(2013)

まいぎり式(または、ゆみきり式)火おこし器を用いて
火をおこす。2時間。小以上。

成果創造、課題解決、
自由試行、介入小

教員研修2(M)、大学5(M)、
高校4、中1

フ~とハーの不思議を探る(2013)

呼気を「フー」「ハー」と手に当てた時の温度の違いについて
解明する。0.5時間。小以上。

課題解決、自由試行、
介入微小

教員研修6(M)、大学5(M)、
高校6、小1
※2014年実施数

マッチ棒ロケットつくり(2014)

マッチの燃焼を用いてロケットつくりをする。2時間。中以上。

成果創造、課題解決、
自由試行、介入小

大学3(M)、高4(M)、
中1(M)

チョコレートづくり(2015)

カカオ豆からチョコレートをつくる。2時間。小以上。

成果創造、自由試行、
介入小

大学2(M)、小4