配属を希望される学生の皆さんへ


生態学とは?

 体の外で起こる現象を探る

生物の体の内側で起こること― ホルモンや免疫や遺伝など―ではなく、体の外側で起こること― 生物の行動など ―を題材としています。

特に、生物が「体の外」=「その生物以外のもの」とどう関わるかという「生き様」を研究する学問分野を「生態学」といいます。

 

 生物と「環境」の多様な関係

* 生物は常に生物的環境(他の生物)と関わりながら生きています。

  たとえば種間関係、植物とその葉を食べるイモムシのような被食ー捕食関係、あるいは、エサやすみかなど、共通の資源を争う競争関係などです。

  また種内関係、同じ種の雄と雌の関係、あるいは働きバチと女王バチの関係など、実に多様な関係があります。

* 生物は、非生物的環境(気温や湿度、昼の長さ)にも影響され、ふるまいや姿を変えます。

  逆に、物理的環境を改変(ビーバーがダム湖を作るように!)することさえ、あります。

* 世界は生物と環境の関係に満ちており、その間に生じる様々な「しがらみ」が、生態学の対象となります。

 

 進化生態学(行動生態学)--進化論を武器として

生態学の到達目標は、個々の生物の生き様を研究するだけではなく、似た生物に、あるいは(未知の種も含めた)生物全体に通用する法則を見付けることです。

そのための武器になるのが進化の法則 (C.Darwinの発見した自然選択による進化)です。

なぜならすべての生物は「進化したもの」であり、進化の法則に従ってかたちづくられているはずだからです。

 

必要な基礎

講義では「昆虫学」「生物学実験」を履修しておくことが望まれます。

講義の中で、分野の見方・考え方(例えば、昆虫や生態の何に興味を持ち、どう調べるのか)に気づき、学びを深めましょう。

 

 生き物達に親しんで、じっくり関わりましょう

色々な身近な生きもの達に、普段からじっくり関わって、自分で発見したモノやコトを大事にしてください。

本当の研究は、そのようなモノやコトを不思議に思ったり、仮説を立てたりするところから始まるからです。

 

 履修計画を早めに立てしましょう

教育実習等の履修スケジュールを早期に把握し、教員とよく相談しておきましょう。

実験の実施時期により、研究素材やテーマを変更しなければならないからです。


 

推薦図書

 大崎直太「擬態の進化」海游舎

 鈴木紀之「すごい進化」中公新書

 酒井聡樹ら「生き物の進化ゲーム」共立出版

 西田隆義「天敵なんて怖くない 虫たちの生き残り戦略」八坂書房

 平嶋義宏・広渡俊哉「教養のための昆虫学」東海大学出版部

 ドーキンス「盲目の時計職人」早川書房

 クレブス・デイビス・ウェスト「行動生態学」共立出版